🦀こんにちは🦀
劇団木霊本公演『トランス』にて衣装を務めます67期目黒と申します。今回のブログは衣装のお話です!
▶︎劇団木霊の衣装セクション
この前初めて知ったのですが、早稲田大学演劇界隈で衣装がセクションとして常設されるのは木霊以外にあまりないらしいです。数年前まで木霊ではドーランを使ったバッチリメイクの作品が多く上演されていたようで、その流れで今も衣装セクションが常設されているのかな…と思っています。最近はドーランを使うことはほぼなく、もっぱら洋服やアクセサリーを合わせるのが役目です。衣装セクションがあるからこそのしっかりめ予算組と、練り練りプランと、アイデア化学反応が実現します(きっと)。
▶︎イメージが衣装になるまで👗
①プランアップ
公演企画が承認されて動き出したら、まずは衣装班のトップ(リーダー)が脚本・演出家と相談してプランを立てます。「半具象で!」と全体のイメージを言われることもあれば、「60年代アメリカのヒッピーで!」とピンポイントで言われることもあります。PinterestやZOZOTOWNと蜜月の仲になり、ひたすらイメージを視覚化する期間ですね。あらゆる画像を見過ぎて目を閉じれば億千の服状態になります。一番光るお前がいる......
②買い出し
街に出て(時にはネットの海に出て)服を探します。最近は下北沢、原宿、新宿、高円寺などに行くことが多いです。衣装には予算という絶対的HPがあるので、上手に消費してベストパフォーマンスを目指します。古着は味方。だけど妥協したくない......と思うと一点物の古着を探してめちゃくちゃ歩くことになります。古着屋さんに、てきぱき目線を動かしている人がいたら、どこかの衣装さんかもしれない!と、普段の買い物でも耳をそばだてて会話を聞いてしまいます。
衣装は、時には一から縫ってつくったり、リメイクしたりもします。服って布だったんだ......!と思います(そりゃそう)。
下は先日買い出しをした時の目黒です。満足そう。
③衣装合わせ
衣装が揃ったらついに役者に着てもらいます。色や形や素材感など、あらゆるバランスを確認して、首を傾げたり全力で頷いたりします。作品のイメージが具現化されて、役者の身体に纏う瞬間を見るのは醍醐味!!目黒は感性に訴えられるとナ行で驚く癖があるので、大体「ナ!!」とか「ヌ!!」とか言っています。ちなみに人間は何行で驚いてもいいです。
④本番週
楽屋に居て衣装の管理をします。本番前にはヘアメイクの手伝いをし、衣装チェックをし、舞台に上がる役者を見送ります。終わったら洗濯!アトリエ近くのコインランドリーはいつも清潔な匂いがして、好きな場所です。
▶︎自己と変身について🧅
身体は自己で、今の世の中では、自己の一番外側は大抵布です。自己が玉ねぎだとしたら、何層にもなる社会的・文化的アイデンティティの、一番外側の茶色いセロハンみたいな皮が、洋服やアクセサリーだと思います(何を言い出した?)。玉ねぎの果肉と確かに隣接してはいるけど、剥がしたり張り替えたりできる皮です。人間の中には自己がずっと直線的に続いていくことに耐えられない人が一定数いて、服やアクセサリーはこの直線感を、比較的簡単にぐちゃぐちゃにできる装置なのだと思います。
下はおそらく普段の自分と最も遠い自分の姿です。ウィッグにロリィタです。変身や越境好きを自負しているので、誰かがそれをやろうと試みているときは、とても強めに背中を押します。
下は高校時代の卒業アルバム撮影のとき(私服校)。ジェンダーも文化背景も縦横無尽に駆け回る!!
服飾や衣装には、自分が持って生まれたものを確かに見つつ抵抗する余地を感じます。誰がどんな格好でいるか?というのは、その人の世界への意思表明みたいなものなのかもしれません。
ところで、自分は演劇に大学から関わり始めました。今は、ただ服を好きでいるだけではなくて、劇団で、作品や役者のことを考えて衣装をやるということを好きでいます。演じるとはどういうことなのか?を、目黒はちゃんとは分からないのですが、役として舞台に立つとき、役者はたぶん玉ねぎの果肉を自己とはまた別の世界で組み立てていて、だとしたらその外側の皮になる衣装は、慎重かつ大胆に、役割を果たす必要があります。直線が並行する役者さん、実に興味深いですね。実のところ目黒が演劇をやってみたいと思ったのは、何よりも演劇をする人たちに興味があったからです。
兎にも角にも、衣装は変身や越境を助けます。人間は死ななくても生まれ変わることができます。何それ楽しそう!!風切って行こう〜〜!!
劇団木霊2020年本公演
「トランス」
主宰 | 菅原茉利奈
作・演出 | 弁象庵
Coming soon...
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